〜環境基準の謎〜
産廃業者だけでなく産業に携わる全ての(特に工場関係)業者に課せられた宿命に国や各自治体が定めた環境基準というものがあります。
大気(すなわち空気汚染)、水質、土壌、騒音などそれぞれ測定方法と測定値の基準があり、逸脱すると違反(犯罪)と見なされます。
基準値そのものついての善し悪しは別にして、環境基準値測定についての疑問を述べたいと思います。
基準値そのものが非常に小さい単位、ppm(100万分の1、一万ppmで1%)ppb(10億分の1、千ppbが1ppm)ナノ(10億分の1)ピコ(1兆分の1)が使用されている事です。
測定技術の進歩によりこのような極小単位が分析出来るようになりました。
私共はこの極小の環境基準をクリアーする為に様々な取り組みやシステム改善、設備投資を行っております。もちろんそれは企業責任として当然な事ですので文句を言うつもりはありません。しかし測定が可能であっても、測定値が正確で真実とは限らない、という現実があります。実際の測定現場で起きた事例を述べたいと思います。
私共業者は定期的や突然の行政の立ち入り検査で監視されております。当然自己管理の為に自分達でも測定分析を行っています。その様な中でつねづね分析値に疑問を感じていたので、ある時行政の立ち入り検査時に同じ場所から同じサンプルを採取し複数の分析を依頼いたしました。もちろんその分析業者は、国から正式に分析の許可を頂いており、国の定めた測定方法で分析を行います。行政の分析値と幾つかお願いした分析業者の分析値の違いは、ほぼ近いものもあれば最大10倍以上の数値の違いがあるものもありました。
しなわち元々極微少なものを分析しているので、結果として出てきた数値は絶対ではなく最大10倍の測定誤差が出るという事が分かりました。
例えるなら、スピード違反の取り締まりで10q以下のスピード超過はほとんど捕まりません、その理由は警察の測定器の数値と車のスピードメーターの数値に誤差があるので断定出来ないからです。
ですから基準値を0.1オーバーした、と言われてもそれが真実であるという保証は何処にもありません。
時々マスコミの報道などで基準値をオーバーしたという事が言われますが、それが何百倍何千倍のオーバーであるなら社会的制裁もやむを得ませんが、もし数倍と言うのであるなら犯人扱いされた業者には同情を禁じ得ません。